「近世日本国民史」とは、近世（1600年代から1868年）の日本の国民の歴史や社会的な変遷を研究する学問領域を指します。この期間は、江戸時代とも呼ばれ、徳川将軍家が支配する日本の政治体制の下で、国内の社会、経済、文化が大きく変化しました。

この時代の主な特徴の一つは、江戸幕府の統治下における封建的な社会秩序の確立です。幕府は武士階級を中心にした体制を築き、農民や商人などの社会階層も明確に規定されました。その結果、社会の動きや人々の生活には、厳格な身分制度の影響が色濃く現れました。

また、江戸時代は長い間、国内の安定と経済的な成長が続いた時期でもあります。幕府は国内の統治を強化し、交通や通貨の整備、商業の発展などを促進しました。これにより、農村から都市への人口移動が進み、都市部の商業や工業が発展しました。

文化面では、歌舞伎や浮世絵などの芸術が栄え、読書や学問の普及も進みました。特に、江戸時代中期から後期にかけては、学問や文化が一般庶民の間にも広まり、都市文化が花開きました。

一方で、この時代は幕府の政治的な圧力や社会の制約が厳しい時代でもありました。特に、農民や商人などの庶民階級は、厳しい税制や身分制度の制約に苦しみました。また、国内の政治的な不安定さや外交的な圧力もあり、幕府の支配は常に脆弱なものでした。

「近世日本国民史」は、このような社会的・経済的・文化的な変遷を研究し、当時の国民の生活や意識、様々な問題を理解することを目的としています。