キャントーズ（The Cantos）は、アメリカの詩人エズラ・パウンド（Ezra Pound）によって書かれた長大な詩の集成です。パウンドはこの詩集を彼の生涯にわたる主要な作品と見なしていました。キャントーズは20世紀初頭から中期にかけて制作され、そのテーマは非常に多岐にわたりますが、その中心には文学、歴史、政治、経済、宗教など、さまざまな分野にまたがる思想的・文化的な要素が含まれています。

この詩は「モダニズム詩歌」の一部と見なされ、構成は非常に複雑であり、古代の叙事詩や西洋の文学、東洋の文化、経済理論、そしてパウンド自身の政治的信条からの引用が多数含まれています。キャントーズの中には、イタリアの詩人ダンテ・アリギエーリ（Dante Alighieri）の影響が強く見られる部分もあります。

パウンドは、キャントーズを通じて彼の時代における文化的な問題や政治的な考えを表現しようとしました。一方で、彼の政治的な信条や行動により、彼の詩の評価は複雑なものとなっています。キャントーズはその文学的価値や詩的な技巧、そして時には政治的な論争の対象となっています。